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予算10万円台から始められる。中小企業が「分散型」でポータブル電源を揃えるべき理由

「停電対策は必要だとわかっている。でも、予算が限られていて、何から手をつければいいのかわからない。」

BCP(事業継続計画)を検討している中小企業の担当者や経営者から、こういったご相談をいただくことが増えています。大企業のように数百万円の非常用電源設備を導入するのは現実的ではない。だからといって何もしないのでは、長期停電が発生した際に業務が完全に止まってしまいます。

私たちボルトワークスは、元自動車メーカーで品質管理に携わったスタッフを中心に、ポータブル電源・蓄電池・防災グッズの選定から導入まで、企業のBCP対策をトータルでサポートしています。今回は、予算10万円台から現実的に取り組める「分散型」電源確保の考え方と、その具体的な進め方についてお伝えします。

「1台で全部まかなう」という発想が危険な理由

BCP対策の現場:ポータブル電源をデスクに置いて使用する様子

停電対策というと、「大容量の電源を1台用意すれば解決する」と考えてしまいがちです。確かに、数kWhクラスの大型ポータブル電源を1台置いておけば、多くの機器をまとめてバックアップできます。ところが、この「1台集中型」の発想には、中小企業の現場では見落とされやすいリスクが潜んでいます。

まず、故障リスクの集中です。電源設備はいつか必ずメンテナンスが必要になります。1台に頼り切っていると、その1台が不調になった瞬間にバックアップ機能が丸ごとゼロになります。

次に、設置場所の制約です。大容量の電源は重量・サイズが大きく、設置できる場所が限られます。オフィスのフロアが複数階にまたがっていたり、部署ごとに別棟に分かれているような場合、1台では物理的にカバーできない範囲が生まれます。

さらに、消防法や管理規約の観点も重要です。リチウムイオンバッテリーを搭載した大容量機器をオフィスビルに持ち込む際には、建物の管理規約や消防法上の確認が必要になることがあります(詳細は管理会社や最寄りの消防署にご確認ください)。機器の容量や設置環境によって取り扱いが異なるため、大型1台を購入してから「実は設置できなかった」というケースも現場では発生しています。

「分散型」電源確保とはどういう考え方か

分散型電源の実例:複数の場所への配置

「分散型」とは、1台の大型機器に頼るのではなく、複数の小中容量のポータブル電源を用途・場所・優先度に合わせて配置するという考え方です。

たとえば、こんなイメージです。

受付・来客対応エリア:通信機器・照明のバックアップ用に400〜600Wh前後の1台。経理・重要データ管理エリア:PCやNASの一時バックアップに500〜700Wh前後の1台。会議室・サーバールーム:必要に応じて1〜2kWhクラスを1台。(いずれも目安であり、実際の必要容量は機器の消費電力と使用時間によって異なります)

この考え方の最大のメリットは、リスクが分散されることです。どれか1台が使えない状況になっても、他の機器はそのまま稼働を続けられます。また、電源を各部署・各フロアに分けて配置することで、いざというときの混乱も抑えられます。

また、「まず1台から始めて、予算が確保できたら順次追加する」という段階的な導入が可能です。BCP対策を一度に完成させようとすると初期投資が大きくなりがちですが、分散型であれば10万円台の予算から着手し、毎年少しずつ体制を強化していくことができます。

予算10万円台でできること——現実的な第一歩

中小企業のBCPを変える:現場での運用イメージ

では、実際に10万円台の予算で何ができるのでしょうか。

現在市場に流通しているポータブル電源(業務用途でも使われる信頼性の高い機種)の目安として、500〜1,000Wh前後の製品であれば、おおむね5万円台後半から15万円前後の価格帯(公称値・時期や販売店により異なります)で選択肢があります。

たとえば10〜15万円の予算があれば、600〜1,000Wh前後の1台を確保し、PCやWi-Fiルーター、照明といった「止まると困る機器」のバックアップを最優先エリアから始めることが可能です。

重要なのは、最初から完璧を目指さないことです。「全部署をカバーする」「72時間分のバックアップを確保する」という目標は正しいのですが、それを一度に達成しようとすると予算の壁で動けなくなります。まず「最も止まると困る機器・場所」を1か所特定し、そこから手をつける。これが、BCP対策を実際に前進させるコツです。

中小企業に「分散型」が特に合う3つの理由

スモールスタートBCP:小規模から始める事業継続計画

1. 意思決定から導入までのスピードが速い

中小企業では、経営者や担当者が一人で判断できる範囲が広く、「試してみる」という動きがしやすい環境です。1台5〜10万円台の機器であれば、取締役会や複数部署の承認を経ずに導入できるケースも多く、「まず1台置いてみる」という実践的な第一歩を踏み出しやすいです。

2. 各自が持ち運べるサイズ感が社内の安心につながる

大型固定設備とは異なり、ポータブル電源であれば担当者が「あの棚にある」「この部屋にある」と把握しやすく、いざ停電が起きたときの初動が早くなります。設置場所のルールを決めておき、使い方を社内で共有しておくだけで、非常時の対応力が大きく変わります。

3. 更新・追加がしやすい

技術の進化に伴い、ポータブル電源の性能は年々向上しています。数百万円の設備投資と異なり、10万円前後の機器であれば数年後に性能の高い後継機に入れ替えたり、追加購入したりする判断が比較的しやすい。BCP対策を「一度やって終わり」でなく、定期的に見直し・更新していける体制につながります。

「とりあえず家庭用の安いやつを買えばいい」ではダメな理由

コストを抑えたい気持ちは当然です。ただし、業務用途でポータブル電源を使う際には、家庭用向けの低価格帯機器をそのまま流用することのリスクも知っておく必要があります。

まず、出力性能と連続稼働の信頼性です。オフィス機器は家電よりも起動時の瞬間電力(突入電流)が高い場合があります(機器によって異なります)。また、夏場のオフィスのように温度が上がりやすい環境での連続使用を想定した熱管理設計がなされているかどうかも、長期的な信頼性に関わります。

次に、サポート体制です。業務で使う機器が故障した場合、迅速なサポートや代替機の手配が必要になることがあります。正規代理店や専門業者から購入することで、保証・サポート面での安心感が変わります。

私たちは、「安く買うな」と言いたいわけではありません。「なぜその価格なのか」「どんな用途を想定して作られた機器なのか」を理解したうえで選ぶことが大切だとお伝えしたいのです。

分散型導入を成功させるための3ステップ

ポータブル電源でスマートフォンを充電:平常時の活用

ステップ1:止まると困る機器と場所を書き出す

まず、停電が発生した場合に「業務が止まる」「お客様に迷惑がかかる」「データが失われる」といった影響が生じる機器・場所を洗い出します。Wi-Fiルーター、電話、PC、レジ・決済端末、サーバーなど、優先順位をつけて一覧にしてみましょう。

ステップ2:それぞれに必要な電力量を概算する

各機器の消費電力(ワット数)を確認し、「何時間バックアップしたいか」をかけると、必要なWh(ワットアワー)が概算できます。機器の取扱説明書や製品仕様を確認してください(実際の稼働時間は機器の状態や使用条件によって異なります)。

ステップ3:優先度の高い場所から1台ずつ導入する

ステップ1・2で整理した優先度に沿って、最も重要な場所から機器を選定・導入します。最初の1台で実際の運用感を確認し、「ここが足りない」「こういう使い方もしたい」という気づきを次の台の選定に活かす。この繰り返しが、現場に合った分散型体制をつくります。

まとめ:完璧な準備より、始めることが大切

「完璧なBCP対策」は存在しません。リスクを完全にゼロにすることはできませんが、「まず1台、最も重要な場所から」という小さな一歩が、事業を守る大きな力になります。

分散型という考え方は、予算が限られる中小企業だからこそ取り入れやすく、かつ実効性の高いアプローチです。大がかりな設備投資をしなくても、10万円台から始められる。毎年少しずつ体制を強化していける。そういう柔軟なBCP対策が、今の中小企業には合っています。

ボルトワークスでは、お客様の業種・規模・予算に合わせた電源確保のご提案を行っています。「まず何をすればいいか知りたい」という段階のご相談でも、お気軽にお問い合わせください。

▶ 動画でも解説しています:【大型ポタ電購入前に知っておきたい】予算10万円台から!中小企業のための「分散型」電源確保術