会社に発電機を置いてあるから、停電の備えは十分。そう考えている企業は少なくないかもしれません。確かに発電機は、燃料がある限り電気を作り続けられるため、容量に上限があるポータブル電源に比べて、長い停電に強いと言われています。ただし、その強みは燃料があってこそのものです。停電が1日で終われば、タンクいっぱいで足りるかもしれません。けれども3日続いたら、燃料は何リットル必要なのか、どこに置くのか、夜中に誰が給油するのかまで決めていなければ、備えとしては不十分です。本記事は、ボルトワークスの動画「会社の発電機は3日分の燃料を持つか」で紹介された考え方をもとに、メーカー公式の数字から3日分の燃料を割り算で出し、BCPとして何を決めておくかを整理したものです。数値は動画内で例として示されたもので、実際の使い方や環境によって変わります。購入や導入の前には、メーカーの公式ページや取扱説明書で最新の情報をご確認ください。

発電機は燃料がある限り動くが、置き場所と使い方に決まりがある
発電機の強みと弱みは、同じ「燃料」にある
動画では、まず発電機の性質が整理されていました。発電機は燃料が続く限り電気を作れるため、容量の上限が気になるポータブル電源とは考え方が違います。その反面、燃料がつきた瞬間に止まります。災害の後は燃料が手に入りにくくなることもあるため、「あるから安心」ではなく「何日分あるのか」を数字で把握しておくことが出発点になります。
発電機は屋内では使えない
もう一つ、動画で強調されていたのが設置場所です。発電機は排気ガスに一酸化炭素が含まれているため、屋内では使えません。消費者庁やNITE(製品評価技術基盤機構)も、可搬型の発電機を屋内で使わないよう注意を呼びかけているとされています。動画で取り上げられた機種のメーカー公式販売サイトでも、排気ガスがこもる場所では使わないこと、換気の悪い場所では使わないこと、雨や雪の中で濡れたまま使わないことが案内されているとのことです。事務所や倉庫の中で動かせば済む、という発想は持たないほうが安全です。
屋外のどこで、誰が動かすのかを先に決める
屋外で使うとなると、設置する場所を選ぶ必要があります。排気を建物の窓や出入口に向けないか、雨風や敷地外の人通りは問題ないか、荷物の搬出入の邪魔にならないかなど、現場を歩いて確かめておく項目は意外と多くあります。誰が動かすのかを決めていなければ、停電の最中に慌てることになります。
計算の基準にした公式の数字
動画では、計算の基準として、ELSONAのGD1600SRという発電機が使われていました。ガソリンとLPガスの2種類の燃料が使える機種で、公式ページには、定格の70%の負荷で運転した場合の数字が載っています。ガソリンはタンク容量が4.0L、満タンでの連続運転は約4.6時間、1時間あたりの消費は0.86Lです。LPガスは50kgのボンベにつないで連続運転が108.6時間、1時間あたりの消費は0.46kgとされています。公式は、燃料消費量や連続運転時間は使用条件や環境によって変わると注記しているため、ここからの計算はあくまで目安です。

3日間(72時間)回すと必要な燃料と、保管・給油の決まり
ガソリンなら約62L
では、公式の数字で3日分を計算してみます。ガソリンは0.86Lに72時間を掛けて、約62Lです。1日24時間に直すと、約21Lになります。20Lの携行缶であれば、4缶ほどが必要になる計算です。
給油の回数は約16回になる
タンクが4.0Lの機種では、62Lを4.0Lで割ると、給油は約16回です。しかも、これは昼間だけの数字ではありません。夜中も運転を続ける前提なら、夜間の給油も含まれます。誰がその時間に起きて、暗い中で、安全に給油するのか。計算してみて初めて、人の手配が必要な作業だと見えてきます。
LPガスなら約33kg
LPガスは、0.46kgに72時間を掛けて約33kgです。1日に直すと約11kgです。50kgのボンベ1本で収まる計算になり、公式の運転時間108.6時間は、約4日半にあたります。ガソリンに比べると、給油の回数を気にしなくて済むのが特徴です。ただし、LPガスのボンベは販売店との契約が関わるため、手配の方法や交換の流れは、事前に販売店へ確認しておくのが安心です。
負荷が軽ければ、減りは遅くなるのが一般的

なお、動画では、負荷が軽ければ燃料の減りは遅くなるのが一般的だと触れたうえで、その公式の数字は確認した範囲では見つからなかったと説明されていました。そのため、70%負荷の数字を、安全側の目安として使うのがよいとされています。実際の使用では、つなぐ機器の合計が小さいほど余裕が出る可能性はありますが、備蓄量を見積もる段階では、見込みを甘くしないほうが無難です。
ガソリンは消防法の危険物にあたる
次に気をつけたいのが、燃料の保管です。ガソリンは消防法で危険物とされており、貯蔵できる量や届出が必要になる量は、自治体の条例で決まっています。動画では、自治体の案内として、ガソリンの指定数量は200Lで、その5分の1にあたる40L以上を貯蔵する場合に消防署への届出が必要になるという書き方が見られる、と紹介されていました。先ほど計算した約62Lは、この量を超えます。
最後は管轄の消防署か販売店に確認する
届出の要否や保管場所の条件は、地域や保管方法によって異なる可能性があります。ガソリンについては管轄の消防署に、LPガスについては取引のある販売店に、具体的な数量と置き場所を伝えたうえで確認してください。本記事の数字は、確認を始めるための材料と考えるのが適切です。
給油のたびに、発電機を止めて冷やす必要がある
給油にもルールがあります。ガソリンを補充する前には、必ずエンジンを停止して冷却することが、メーカーの公式販売サイトで案内されているとのことです。ガソリンの場合、満タンの連続運転が約4.6時間のため、約4.6時間ごとに発電機を止めて給油する時間が来ます。
給油の間、電気は止まる
発電機を止めている間は、当然ながら電気も止まります。止めずに済ませるには、給油の間、電気を支える別の電源が必要です。動画では、ここで電池が必要になると説明されていました。たとえば、通信機器や冷蔵設備のように、止めたくない機器が給油のたびに落ちてしまうのであれば、ポータブル電源のような蓄電池との組み合わせも選択肢になります。

置いただけにしない、3つの決めごと
1つ目:何日分の燃料を、どの燃料で持つか
動画の後半では、会社として何から決めればよいのかが、3つの決めごととして整理されていました。1つ目は、何日分の燃料を、どの燃料で持つのかを決めることです。公式の運転時間から必要な量を計算し、置き場所を決めて、管轄の消防署や販売店に確認します。計算せずに買い出した燃料は、足りないか、多すぎるかのどちらかになることが多いとされています。
2つ目:運転のルールを紙に書く
2つ目は、運転のルールを紙に書くことです。どこで動かすのか、排気はどちらに向けるのか、夜中の給油は誰が当番なのかを書き出します。給油はエンジンを止めて、冷えてから行うこと、屋内では絶対に動かさないことも、ルールに入れておきましょう。停電の最中は、判断する余裕がなくなりがちです。紙に書いてあれば、担当者が不在でも代わりの人が動けます。
3つ目:平常時に、本番どおりに一度動かす
3つ目は、平常時に一度、本番どおりに動かしてみることです。燃料がどれだけ減ったか、給油の間、電池に支えてもらえたかを記録しておきます。発電機は、置いただけでは備えになりません。長く置いたままの発電機は、いざ使おうとしたときに動かないこともありうるため、定期的に動かして状態を確かめておくことが、結果として備えの質を高めます。
燃料・ルール・試運転が、3日を乗り切る土台になる
燃料の量と、運転のルールと、試運転。この3つを決めておくことが、3日を乗り切る土台になる、と動画は結んでいました。まずは、自社の発電機について、燃料の種類と1時間あたりの消費量を取扱説明書で確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。
計算の基準にした発電機のスペック
最後に、動画で計算の基準にされたELSONA GD1600SRの主なスペックを、動画の紹介どおりに整理しておきます。燃料はLPガスとガソリンの2種類で、定格出力はLPガスで約1.5kVA、ガソリンで約1.7kVAと紹介されていました。コンセントはAC100Vが2口で、USB端子も付いています。乾燥重量は18.5kg、寸法は440×290×445mmで、LPガス用の圧力調整器と3mのホースが付属するとのことです。動画の時点では、定価は税込で217,800円とされていました。価格や仕様は変更される場合がありますので、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
購入前に確かめておきたい2つの注意点
注意点は2つあります。1つ目は、kVA(キロボルトアンペア)はW(ワット)とは別の単位だということです。つなぐ機器の合計が収まるかどうかは、取扱説明書で確かめる必要があります。2つ目は、動作音(デシベル)の数字が、動画で確認した公式情報には載っていなかったという点です。住宅が近い場所や、夜間に運転する場合は、音の問題が出る可能性があるため、購入前に販売店へ確認しておくと安心です。また、メーカーの公式販売サイトでは、ポータブル電源との組み合わせも案内されていますが、発電機からポータブル電源を充電できる条件は、両方の取扱説明書で確かめてください。
迷ったときは、使いたい機器の消費電力、置ける場所、停電を何日まで想定するかの3点を書き出してから、販売店や専門店に相談すると話が早く進みます。法人での導入を検討される場合は、補助金や助成金の対象になるかどうかも含めて、自治体や専門の窓口にご確認ください。御社の発電機は、3日分の燃料を持っていますか。動画のコメント欄で、ぜひ教えてください。

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