企業の車両にポータブル電源を積み込み、走行中の充電でBCP対策や現場作業の電源を確保するという取り組みが広がってきています。ただし、いざ導入を検討する段階になると、「すでに複数のメーカーのポータブル電源を保有している」「部署ごとに導入時期が違い、機種がバラバラになっている」という声を担当者からよく耳にします。走行充電器を新たに導入するにあたって、手持ちの電源をすべて買い替えなければならないのだとしたら、コストも手間も膨らんでしまいます。今回は、他社製のポータブル電源にも対応する走行充電器という選択肢を軸に、企業が社用車の電源環境を整えていくうえでどのような視点を持てばよいのかを整理していきます。特定の製品を優劣で断定することが目的ではなく、複数メーカーの機器が混在する現実的な運用にどう向き合うかという観点でまとめました。

社用車のBCP電源、なぜ「メーカーを揃える」ことにこだわらなくていいのか
拠点ごとに機種がバラバラになりがちな企業の実情
複数の拠点や部署を持つ企業では、ポータブル電源の導入がまとまったタイミングで一斉に行われるとは限らないようです。ある部署は数年前に別メーカーの製品を導入し、別の部署は最近になって新しいモデルを購入した、というように、社内を見渡すと複数メーカーの機器が混在しているケースは珍しくないと考えられます。BCP対策として全社的に電源環境を底上げしようとしたとき、この「機種がバラバラ」という状態が思わぬ壁になることがあります。走行充電という仕組みを社用車に導入しようとしても、対象となるポータブル電源の型番がすべて異なれば、それぞれに対応する充電器を個別に選定しなければならず、検討の手間が一気に増えてしまうためです。
買い替えではなく「共存」という発想
こうした状況で有効になりうるのが、特定のメーカーに縛られず、幅広いポータブル電源に対応する走行充電器を選ぶという発想です。すでに社内にある電源資産を活かしながら、車両側にはメーカーを問わず使える充電器を1台導入する形であれば、既存の機器を無理に買い替える必要がなくなります。企業にとって設備投資は慎重に判断すべき事項であり、稼働している資産をむやみに入れ替えるよりも、今あるものを活かしつつ足りない機能を補うという「共存」の考え方のほうが、稟議を通しやすい面もあるのではないでしょうか。特に、複数拠点でメーカーが統一されていない状態を無理に揃え直すよりも、汎用性の高い充電器を軸に環境を整えるほうが、現実的な着地点になりやすいと考えられます。

走行充電という切り口がなぜ相性がいいのか
走行充電器は、車両のオルタネーター(発電機構)から生まれる電力を利用して、走行中にポータブル電源へ充電を行う仕組みです。社用車が日常的に稼働している企業であれば、営業や配送、現場移動といった通常業務の延長線上で、意識せずとも電源を充電しておける点が特徴だといえます。停電などの非常時にあらためて充電作業を行う必要がなく、常に一定量の電力が確保された状態を維持しやすいという意味で、BCP対策との相性は良いと考えられています。この仕組みを複数メーカーの電源に対して使い回せるのであれば、車両1台あたりの投資で社内の電源環境全体を底上げできる可能性も出てくるはずです。
他社製ポータブル電源に対応する走行充電器を選ぶ際に確認したい視点
対応電圧・電流の仕様を必ず確認する
「他社製にも対応」とうたわれている走行充電器であっても、実際にどこまでの範囲をカバーしているかは製品によって差があるとされています。入力・出力の電圧や電流の仕様、対応するバッテリー容量帯などは製品ごとに公式スペックが定められているため、自社が保有している電源の型番と照らし合わせて、対応範囲に含まれているかを事前に確認しておくことが欠かせません。カタログ上「多くのモデルに対応」と記載されていても、自社の特定の型番が対象外になっている可能性もゼロではないため、購入前にメーカーや販売店へ直接問い合わせて確認しておくと安心です。
施工前提としての車両側の電装
走行充電器は、車両のバッテリーやオルタネーターと接続して機能する機器であるため、取り付けには相応の電装知識が求められます。車種によって配線の取り回しやヒューズボックスの位置、既存の電装品との干渉具合が異なり、DIYでの施工は配線ミスによる車両火災などのリスクを伴うといわれています。特に社用車の場合、業務に使う資産である以上、故障や事故のリスクは極力避けたいところです。走行充電器の導入を検討する際は、製品の対応範囲だけでなく、施工を任せられる専門業者があるかどうかもあわせて確認しておくことをおすすめします。

「対応する」と「相性がいい」は別問題
複数メーカーのポータブル電源に対応しているとされる走行充電器であっても、実際に接続してみたときの充電速度や安定性は、組み合わせる機器によって多少の差が出ることもあるとされています。対応リストに載っているからといって、すべての組み合わせで同じパフォーマンスが得られるとは限らない点は念頭に置いておいたほうがよいでしょう。導入前に実機でのデモや、同様の組み合わせで導入した事例があるかを販売店に確認しておくと、導入後のギャップを減らせる可能性があります。実際の施工現場では、車種やバッテリー配置、既存の電装品との位置関係によっても取り回しの難易度が変わってくるため、カタログスペックだけで判断せず、現車を確認したうえで見積もりを取ることが望ましいといえます。
保証・アフターサポートの範囲も忘れずに
他社製のポータブル電源と組み合わせて使う以上、万一トラブルが起きたときにどちらのメーカーの保証範囲になるのかが分かりにくくなるという懸念もあります。走行充電器側の保証がポータブル電源本体の故障までカバーするのか、あくまで充電器自体の初期不良や動作保証にとどまるのかは、製品やメーカーによって取り扱いが異なるとされています。企業として導入する以上、保証の範囲や問い合わせ窓口があらかじめ明確になっているメーカー・販売店を選んでおくことは、長期的な安心材料になるはずです。購入前に保証書やサポート窓口の案内を確認し、不明点があれば購入前に問い合わせておくことをおすすめします。
企業が走行充電器導入を検討する際の進め方
現有資産の棚卸しから始める
走行充電器の導入を検討する第一歩として、社内にどのメーカー・どの型番のポータブル電源がどれだけあるのかを棚卸ししておくことをおすすめします。拠点ごとにバラバラに把握されている状態では、走行充電器を選定する際の判断材料が揃わず、結局は個別対応にならざるを得なくなってしまいます。逆に、保有機器のリストを一度整理しておけば、幅広い対応範囲を持つ充電器を選ぶべきか、特定メーカーに寄せて統一していくべきかという方針も立てやすくなるはずです。あわせて、どの車両にどの拠点の電源を積んで運用したいのかという配車・配置計画も同時に整理しておくと、導入後の運用がスムーズになります。

施工は専門業者に依頼する理由
前述の通り、走行充電器の取り付けは車両の電装に手を加える作業であるため、実績のある専門業者に依頼するのが望ましいと考えられます。特に企業の車両は日常的に稼働させる資産であり、施工の不備によるトラブルは業務そのものに影響を及ぼしかねません。導入を依頼する業者を選ぶ際は、施工実績や保証体制、アフターサポートの有無を確認しておくと、長期的に安心して運用できる可能性が高まります。あわせて、他社製ポータブル電源との組み合わせでの施工実績があるかどうかも、事前に確認しておきたいポイントです。
導入後の運用・複数拠点管理
走行充電器を導入したあとは、社用車がどの程度の頻度で走行しているか、どのくらいの充電量が確保できているかといった運用状況を、担当者が定期的に把握しておくことが望ましいといえます。車両の稼働頻度が低い部署では、想定していたほど充電が進まないケースも考えられるため、必要に応じて自宅コンセントやソーラーパネルなど、他の充電手段と組み合わせて運用することも検討しておくとよいでしょう。複数拠点・複数車両で導入を進める場合は、どの車両にどの充電器・どの電源を組み合わせているかを一覧化しておくと、担当者の異動があっても運用が継続しやすくなります。走行距離が短い都市部の営業車と、長距離移動が多い現場巡回車とでは、同じ走行時間でも充電できる量に差が出てくると考えられるため、車両ごとの使い方に応じて充電計画の目安を分けておくことも運用のコツといえそうです。
段階的な導入で全社展開のハードルを下げる
いきなり全拠点・全車両に走行充電器を導入しようとすると、予算面でも社内調整の面でもハードルが高くなりがちです。まずは稼働頻度の高い車両や、BCP上の重要度が高い拠点から先行導入し、実際の充電量や運用のしやすさを検証したうえで、他拠点への展開を検討するという段階的な進め方も現実的な選択肢だと考えられます。先行導入で得られた知見は、後続拠点での機種選定や施工業者選びにも活かせるはずです。全社的な電源環境の底上げは一朝一夕には進まないものだからこそ、小さく始めて検証しながら広げていく姿勢が、結果的に無駄のない投資につながるのではないでしょうか。
社用車の電源環境を整えようとするとき、「すでにある機器をどう活かすか」という視点は、BCP対策を現実的なコストで前進させるうえで重要な考え方だと感じています。他社製のポータブル電源にも対応する走行充電器であれば、既存の資産を無駄にすることなく、社用車を「動く電源基地」として活用していく道が開けます。私たちボルトワークスは、電装のプロとしてさまざまなメーカーの組み合わせでの走行充電器施工に対応しており、法人のお客様の車両電源環境についてもご相談を承っています。複数メーカーの機器が混在していて導入に踏み切れずにいるというご担当者の方は、まずは現有資産の棚卸しからでもお気軽にお声がけください。

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