停電への備えというと、オフィスや工場に据え置く蓄電池をまず思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし企業活動の現場では、電源が必要になるのはオフィスの中だけとは限りません。建設・点検・訪問サービス・移動販売など、社用車で現場を移動しながら業務を行う会社にとっては、「出先でどう電源を確保するか」もまた見過ごせないBCP上の課題だと考えられます。今回は、社用車に走行充電器を取り付けて大容量ポータブル電源を素早く充電するという運用を、法人のBCP対策という視点から見ていきます。
なぜ「社用車の走行充電」が企業のBCPに関わるのか
出先での電源途絶という盲点
多くの企業がBCPを検討する際、まず想定するのは「オフィスや工場が停電したらどうするか」という場面ではないでしょうか。もちろんそれも重要な論点ですが、営業車両や工事車両、点検車両で日常的に外を回っている企業の場合、社員が拠点から離れた場所にいる時間帯にも電力需要は発生します。ノートパソコンやタブレット、通信機器、測定機器、簡易的な照明など、移動先で充電が切れてしまうと業務そのものが止まりかねない機器は少なくありません。オフィスの非常用電源だけを整えていても、その恩恵が及ぶのはオフィスにいる社員に限られてしまうという点は、意外と見落とされがちだと考えられます。
通信・点検・訪問業務における移動中断のリスク
災害発生時や大規模停電時には、平常時よりもむしろ移動しながらの業務が増えることも想定されます。設備の点検、被害状況の確認、取引先や顧客への訪問対応など、現場に足を運ばなければ状況を把握できない業務は多く、そうした場面でこそ電源トラブルによる業務停止は避けたいところです。あらかじめ社用車自体が充電インフラとして機能する仕組みを備えておけば、移動中や現場滞在中でも手持ちの電源を維持しやすくなり、結果として対応のスピードや継続性を保ちやすくなると期待できます。
発電機を持ち歩けない現場との相性
建設現場などでは、エンジン式の発電機を電源として持ち込む運用も一般的です。ただし発電機は重量があり、燃料の管理や騒音、排気ガスへの配慮も必要になるため、営業車両や訪問サービスの車両に常時積んでおくには不向きな面があります。その点、走行充電器であれば車両のオルタネーター(発電機構)を活用してポータブル電源を充電する仕組みのため、追加の燃料補給や大掛かりな設置作業をともなわずに、車を動かしているだけで電力を蓄えられるという特徴があります。移動そのものが日常業務である企業にとっては、発電機よりも運用の手間が少ない選択肢になり得ると考えられます。

大容量化が進む一方で置き去りにされがちな「充電環境」
近年のポータブル電源は大容量化が進み、業務用途にも耐えうる容量帯のモデルが増えてきました。一方で、その大容量バッテリーを実際にどう満充電まで持っていくかという「充電環境」については、後回しになりやすいテーマだと感じられます。自宅やオフィスのコンセントからの充電だけに頼っていると、外出先で数時間走っても数パーセントしか回復していない、といった状況に直面する可能性もあります。容量の大きさだけでなく、日常の移動の中でどれだけ効率的に充電できるかという視点も、法人利用では重要な選定基準になってくると考えられます。実際、容量ばかりを比較して製品を選定した結果、肝心の充電手段が自宅コンセントしかなく、結局満充電まで丸一日以上かかってしまうというケースも起こり得ます。購入前の比較検討では、容量やサイズと同じくらい、日常の運用の中でどう充電サイクルを回せるかという視点を重視しておくと、導入後のギャップを減らせるはずです。
走行充電器を社用車に導入する際に法人が確認したいポイント
出力(W数)の考え方——業務用途に足りる容量か
走行充電器を選ぶ際は、対応する出力(W数)が自社の運用に見合っているかを確認しておく必要があります。今回参考にした事例では560W出力のオルタネーターDC充電器が取り付けられていましたが、こうした製品は走行中の充電速度に直結するため、移動時間が短い日でもどれだけ電力を回復できるかを左右します。一方で、車両のバッテリーやオルタネーターへの負荷にも関わる要素のため、対応車種や出力の目安については、必ず製品の公式情報を確認したうえで導入を検討することをおすすめします。
車両への施工・取り付け方法——安全性と原状回復への配慮
走行充電器の取り付けは、車両のバッテリー端子や配線に関わる作業となるため、DIYでの施工にはリスクがともなうと考えられます。動画内でも、エンジンルーム内での配線接続や車体への穴あけをともなわない施工方法が紹介されていましたが、こうした専門的な取り付け作業は、車両の保証やリース契約への影響も考慮しながら、施工実績のある専門店に依頼するのが安心だといえそうです。特に社用車がリース車両や複数台のミニバンなど特殊な構造を持つ場合には、車種ごとの取り付け勘所を把握した業者に相談する価値は大きいと考えられます。

複数台運用時の管理体制をどう整えるか
営業車両や工事車両を複数台保有している企業では、どの車両に走行充電器とポータブル電源を積んでいるか、充電状態がどうなっているかを一元的に把握できる体制を整えておくことが望ましいと考えられます。車両ごとに管理が属人化してしまうと、いざという時に「充電が済んでいる車がどれか分からない」といった事態にもなりかねません。資機材の管理台帳と同じように、電源設備についても定期的な点検・充電確認のタイミングをルール化しておくことが、備えを実効性のあるものにする一歩になるはずです。担当者の異動や車両の入れ替えがあっても運用が途切れないよう、マニュアル化しておくことも有効だと考えられます。誰が見ても状態が分かるよう、車両ごとに簡単な充電ログを残しておくといった運用も、いざという時の安心材料になるはずです。

製品選定の一例——オルタネーターDC充電器という選択肢
走行充電器にはメーカーやモデルによって対応出力や接続方式にちがいがあります。今回紹介した事例のように、アプリで出力状況を確認できるモデルであれば、走行中にどの程度充電が進んでいるかを可視化しやすく、法人での運用管理にもなじみやすいと考えられます。導入にあたっては、自社の車両との適合性や、既存のポータブル電源との組み合わせが可能かどうかも含めて、事前に確認しておくと安心です。ミニバンなど車内スペースを有効活用したい車両では、充電器本体の設置場所や配線の取り回しも運用のしやすさに影響してくるため、施工実績のある業者に現物を見てもらいながら検討するのが確実だと考えられます。
専門店に相談するという選択肢
社用車を「動く電源」として活用する仕組みは、車両ごとの構造や用途によって最適な組み合わせが異なるため、自社だけで最適解を判断するのが難しいと感じる場面も少なくないはずです。法人向けにポータブル電源や走行充電器の導入を数多く手がけている専門店であれば、車種や運用スタイルをヒアリングしたうえで、出力や施工方法、複数台運用の管理体制まで含めて相談に乗ってもらえる可能性があります。BCPの観点を踏まえた電源計画について気軽に相談できる窓口を持っておくこと自体が、企業にとって一つの備えになるのではないでしょうか。

停電時の備えというと据え置き型の蓄電池ばかりに目が向きがちですが、社用車で現場を移動する機会が多い企業にとっては、「移動そのものを充電の機会に変える」という発想も、BCP対策の選択肢の一つになり得ると考えられます。走行充電器と大容量ポータブル電源を組み合わせておけば、平常時の業務効率化はもちろん、災害時に拠点を離れて動かなければならない場面でも、電源が理由で業務が止まるリスクを減らせる可能性があります。導入コストだけを見ると後回しにされがちなテーマではありますが、業務継続という観点で見れば、車両という既存の資産を活かしながら備えを底上げできる、費用対効果の高い選択肢のひとつだといえるかもしれません。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーとしての知見を生かし、法人のお客様の車両電源計画についてもご相談を承っています。社用車の電源対策を見直したいとお考えのご担当者の方は、ぜひ一度お気軽にお声がけください。

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