元動画:ホンダが作るポータブル電源Lib Aid E 500がEFDELTAに勝てるか技術者が検証比較しました。(https://www.youtube.com/watch?v=oEgp1L9G7CM)
本記事は、2020年12月に公開された動画を、現在の視点で振り返る回です。動画は、ホンダのポータブル電源「LiB-AID E500」と、海外メーカーの大容量機「EFDELTA」を、デザインやサイズ、出力、容量、価格、保証といった項目ごとに採点して比べる内容でした。総合点では海外機に軍配が上がるのですが、興味深いのは、動画が「最大の魅力」として最後に取り上げたのが、性能の数字ではなく、購入者に1年間付いてくる賠償責任保険だったことです。BCP(事業継続計画)の備えとして電源を選ぶとき、保証期間の長さはよく比べられますが、万が一の事故で他人に損害を与えたときの「賠償」まで考えて選ぶ視点は、今でも見落とされやすいと感じます。なお、ホンダの公式サイトでは、この製品は在庫限りで販売終了と案内されています。比較相手のEFDELTAも、現在は販売を終え、リコールによる交換プログラムが案内されています。古い動画ですので、数値や販売状況は、必ず最新の公式情報でご確認ください。

2020年の動画で語られた、自動車メーカー製の電源の個性
動画の前半は、当時の定番だった採点形式の比較です。語られた内容を、少し距離を置いてたどり直してみます。
七つの項目で採点し、総合点は海外機が上回った
動画では、デザイン、サイズ、出力ポートの数、出力、容量、価格、保証の各項目を5点満点で採点し、レーダーチャートにまとめていました。結果は、EFDELTAが合計27点、E500が合計20点で、容量や出力ポートの数といった「量」の項目で差がついています。これはあくまで話者個人の採点だと動画内でも断られていますが、カタログの数字だけを並べると大容量機が有利に見える、という構図は今も変わっていないと思います。
出力と容量は、優劣ではなく用途への適合で読む
E500の出力は定格300ワット、最大500ワットと紹介されていました。現在のホンダ公式ページにも、最大出力500W(VA)、定格出力300W(VA)、重さ5.3キログラムという記載があり、300ワットの機器なら約1時間動かせる、という運転時間の目安も書かれています。動画では容量の項目は低い点数でしたが、BCPの目線で言えば、これは欠点というより「どの機器を、何分動かすための電源か」という適合の問題です。通信機器や照明のような小さな負荷を短時間支える用途と、冷蔵庫や暖房を長時間支える用途では、選ぶべき容量帯がまったく違います。点数の高い低いではなく、自社の想定停電時間と使いたい機器から逆算する読み方が安全だと考えられます。
並列接続という、後から増やせる設計
動画の中盤では、E500ならではの機能として並列接続が紹介されていました。映像内に映るホンダの解説ページによると、E500を2台つなぐと最大出力1,000ワット、同社の発電機と組み合わせるとさらに大きな出力まで広げられる、とのことです。まず1台で試し、足りなければ買い足して並列にする、という段階的な増強の考え方は、予算を一度に確保しにくい法人の備えとも相性が良いように思います。ただし並列運転には専用のコードが必要とされていますので、実際に検討される場合は対応機種や条件を必ず販売店にご確認ください。
動画が「最大の魅力」と呼んだのは、保証ではなく保険だった
保証の項目で、動画はE500の製品保証を12か月と紹介し、海外機の24か月より短いとしながら、評価を一転させる材料を挙げます。それが、購入者に1年間、無料で付いてくる賠償責任保険です。万が一ポータブル電源が原因で損害を与えた場合に、対人1億円、対物1,000万円まで補償される、という説明でした。この内容は現在のホンダ公式ページにも、賠償責任保険(施設所有管理者特約)が1年間付帯する、として記載されています。リチウムイオン電池を使う製品が原因の火災が毎年報じられる中で、製品の修理や交換ではなく「他人への賠償」を正面から備えた電源は、当時も今も珍しい存在だと思います。

保証と賠償は別物、事故後のお金まで備えの範囲に入れる
ここからは、動画の採点を離れて、この保険の話をBCPの実務にどうつなげられるかを考えます。以下は筆者の整理であり、契約内容や製品によって当てはまり方は変わります。
製品保証が守るのは製品、賠償責任保険が守るのは会社
製品保証は、故障した製品そのものを修理・交換してもらう仕組みです。一方、賠償責任保険が備えるのは、発火などの事故で建物や他人の持ち物、人に損害が及んだときの支払いです。事務所や倉庫に電源を備蓄する法人にとって、怖いのは製品が壊れることよりも、事故が自社の設備や従業員、来客、近隣に広がることではないでしょうか。保証期間の長さを比べるだけでは、この部分はまったくカバーされません。保証と賠償は守る対象が違う、という整理を持っておくと、製品選びの質問も変わってくると考えられます。
自社の保険でどこまで賄えるかを、購入前に確認する
製品に保険が付いていない場合でも、会社が既に契約している火災保険や施設賠償責任保険の範囲で、電気製品が原因の事故が賄える場合があります。逆に、備蓄品からの発火が想定外で、補償の対象から外れていることもあり得ます。ポータブル電源をまとまった台数で導入する前に、保険会社や代理店に「充電式の電源を事務所に常備した場合、事故時はどの契約で賄われるか」を確認しておくと、製品側の保険に頼るべきかどうかの判断材料になります。製品付帯の保険は期間が1年など限られることが多いため、2年目以降をどの契約で支えるかも、同じタイミングで決めておけると安心です。ここは契約ごとの差が大きいところですので、必ず専門の窓口にご相談ください。
適用されない場合の条件から、管理のルールを逆算する
動画でも、この保険には適用されないケースがあると触れられていました。映像内の画面には、補償対象製品の所有者や購入年月日、機体番号が特定できない場合は支払いができない、といった免責の条件が映っています。裏を返せば、購入日と製造番号を記録し、誰が管理しているかを明確にしておくことが、いざという時に保険を使うための前提になるということです。備蓄電源の台帳に、型番と製造番号、購入日、保証と保険の期限を一行ずつ書いておく。この地味な記録が、事故後の手続きを大きく左右すると考えられます。

動画から5年あまり、二つの製品の現在と確認しておきたい点
この動画は5年以上前のものです。登場した製品の現在の状況を、公式の情報で確かめておきます。
E500は在庫限りで販売終了、現行は事業者向けの機種に
ホンダの公式サイトでは、LiB-AID E500は在庫限りで販売終了と案内されており、カラーのひとつは既にメーカー在庫も完売とされています。一方で同じ蓄電機のページには、着脱式バッテリーを使う「Honda Power Pod e:」という機種が掲載されており、こちらはバッテリーの適切な廃棄に協力できる事業者向けの販売、と明記されています。家庭向けの小型機から、法人を正面から対象にした製品へと軸足が移っているように読め、法人の備えとしては、むしろ選択肢が具体的になったとも言えそうです。
比較相手のEFDELTAは販売を終え、リコールが進んでいる
動画で高得点だったEFDELTAは、経済産業省のリコール情報によると2023年4月までで販売を終えており、現在はメーカーによる後継機への無料交換プログラムが案内されています。発火の恐れを理由とした回収です。もし当時の動画などをきっかけにこの機種を購入し、今も社内に残っている場合は、メーカー公式のリコール案内を確認することを強くおすすめします。採点で勝った製品が数年後に回収対象になるという事実は、購入時の点数より、購入後に情報を追い続ける体制のほうが大事だということを教えてくれます。

まとめ:点数より、事故の後まで面倒を見てくれるかを問う
動画は、性能では海外機に届かないE500を、手厚い保険を理由に「初心者や品質に不安がある方の選択肢」と結論づけていました。5年後の目で見ると、この結論は思った以上に本質を突いていたように感じます。非常用電源の備えでは、容量や出力の点数に加えて、事故が起きたときに誰がどこまで賠償するのか、自社の保険はそれを賄えるのか、製造番号や購入日の記録は残っているか、という「事故の後」の問いを選定の段階で立てておきたいところです。製品の販売状況や保険の内容は変わる可能性がありますので、最終的にはメーカーや保険会社の最新情報をもとにご判断ください。

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