「停電に備えてポータブル電源を導入したものの、実際に使うタイミングで思ったように機能しなかった」という声は、企業の防災担当者からも少なくないといわれています。容量や価格だけを見て選んでしまった結果、いざという場面で出力が足りなかったり、精密機器との相性でとまどったりするケースが後を絶たないようです。BCP(事業継続計画)における非常用電源は、一度導入すれば終わりというものではなく、どのような基準で選ぶかによって、実際の非常時にどこまで頼れるかが大きく変わってくると考えられます。
この記事では、企業の非常用電源選びで後悔しやすいポイントを整理したうえで、失敗しないために確認しておきたい5つの基準を解説します。そのうえで、EcoFlowが展開する新モデル「DELTA 3 2000 Air」「DELTA 3 1000 Air」を例に、実際にどのような着眼点で電源を検討すればよいのかを考えていきます。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーで培った知見をもとにポータブル電源専門店として法人のお客様のご相談にも数多く携わっており、そうした現場感覚もふまえながら実務に近い視点で整理していきます。

企業が非常用電源選びで「後悔した」と語る典型パターン
家庭用モデルをそのまま業務用に置き換えてしまうケース
家庭で使う分には十分でも、オフィスや店舗、工場といった業務用途では求められる条件が異なる場合があります。同時に稼働させたい機器の数や、稼働させ続けたい時間が家庭とは異なるため、家庭用として案内されているモデルをそのまま業務用に転用してしまうと、いざという時に容量や出力が足りなくなる可能性があるようです。導入前に、自社の使い方が家庭用の想定と近いのか、それとも異なるのかを整理しておくことが最初の一歩になると考えられます。
容量(Wh)だけを見て出力(W)を見落としてしまうケース
ポータブル電源を比較する際、多くの方がまず注目するのが「容量」を表すWh(ワットアワー)の数値です。しかし、実際に何かを動かせるかどうかを左右するのは、瞬間的にどれだけの電力を出せるかを示す「出力」、つまりW(ワット)の数値だとされています。容量が大きくても出力が小さければ、消費電力の大きい機器を動かせないことがあるようです。パソコンや照明程度であれば問題が起きにくくても、コピー機や冷蔵設備、業務用の空調機器などを動かしたい場合は、容量と出力の両方をあわせて確認しておく必要があると考えられます。
「動くはずが動かなかった」精密機器との相性の見落とし
停電時に自動でバッテリー給電へ切り替わる機能を備えた製品も増えていますが、この切替にかかる時間は製品によって異なるとされています。切替の瞬間にわずかでも電力が途切れれば、稼働中のパソコンが再起動してしまったり、精密機器がエラーを起こしたりする可能性は否定できません。特にサーバーや医療機器など、一瞬の停止も許されない精密機器を扱う場合は、製品の仕様をよく確認したうえで導入を検討する必要があると考えられます。
導入したものの、運用体制が整わず放置されてしまうケース
電源本体を導入しても、誰がいつ充電状態を確認するのか、どの拠点にどの機材を配置しているのかといった運用ルールが定まっていないと、いざという時に「充電が切れていた」「どこにあるかわからない」という事態になりかねません。複数の拠点や部署で電源設備を扱う企業ほど、導入後の管理体制まで含めて検討しておくことが重要だと考えられます。
後悔しないために確認しておきたい5つの基準

基準1: 容量 ― 何を、どれだけの時間動かしたいか
まず整理しておきたいのが、停電時に何を、どれくらいの時間動かす想定なのかという点です。照明とパソコン数台程度なのか、業務用の機器まで含めるのかによって、必要な容量の目安は大きく変わってきます。想定するシーンをできるだけ具体的に洗い出したうえで、多少の余裕をもった容量を選んでおくことが安心材料になるといえそうです。
基準2: 定格出力と瞬間的な最大出力の違い
前述の通り、容量とあわせて確認しておきたいのが出力です。多くの製品には、継続的に出せる「定格出力」と、一時的に上限を超えて出せる機能(いわゆるブースト機能)による「瞬間最大出力」の2種類の数値が示されています。継続して動かしたい機器の消費電力は定格出力の範囲内に収まっているか、一時的に電力を多く使う機器は瞬間最大出力で対応できる範囲かという、2つの視点で確認しておくとよさそうです。
基準3: 停電時の自動切替機能とUPSの違い

停電の瞬間に自動でバッテリー給電へ切り替わる機能を備えたポータブル電源が増えていますが、この機能はいわゆる「UPS(無停電電源装置)」とは厳密には異なる場合があるとされています。実際にEcoFlowの製品情報でも、自動切替機能について「0ミリ秒以内で切り替わる完全なUPS機能ではなく、UPSを必要とするデータサーバーや医療機器などの精密機器には使用しないでください」という趣旨の注意書きが明記されています。ごく短時間とはいえ切替時にわずかな遅れが生じる可能性がある以上、本当に瞬断が許されない用途では、別途専用のUPS機器と組み合わせるなど、用途に応じた使い分けを検討したほうがよさそうです。
基準4: バッテリー素材 ― リン酸鉄リチウム(LFP)という選択
バッテリーの素材によって、安全性や寿命の傾向が異なるとされています。近年主流になりつつあるリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池は、他の素材と比べて熱暴走が起きにくいとされ、繰り返しの充放電にも比較的強い傾向があるといわれています。製品によっては、数千回の充放電を経ても一定以上の容量を維持できるとされるものもあり、長期間にわたって設備として運用する法人利用との相性がよいと考えられます。
基準5: 扱いやすさ ― 重量・充電方式・運用のしやすさ
どれだけ性能がよくても、日常的に扱いにくいものは非常時にかえって負担になりかねません。重量が軽く持ち運びしやすいか、複数の方法(コンセント・ソーラー・走行充電など)で充電できるか、担当者が変わっても迷わず操作できるシンプルさがあるかといった点も、法人での運用においては軽視できないポイントだと考えられます。
5つの基準から考えるEcoFlow「DELTA 3 Air」シリーズという選択肢
大容量モデル「DELTA 3 2000 Air」の位置づけ

「DELTA 3 2000 Air」は、公式情報によれば定格容量1,920Wh、定格出力1,000W(独自機能により瞬間的に1,500Wまで対応)とされ、本体重量は約17.5kgとされています。バッテリーにはリン酸鉄リチウムイオン(LFP)が採用されており、公式には3,000回以上の充放電を経ても初期容量の70%を維持するとされています。オフィスや店舗など、複数の機器をまとめて長時間動かしたい拠点での非常用電源として、候補にあがりやすい容量帯だといえそうです。
「防災の1台目」としての「DELTA 3 1000 Air」

一方の「DELTA 3 1000 Air」は、定格容量960Wh、定格出力500W(独自機能により瞬間的に800Wまで対応)とされ、本体重量は約10kgと、2000 Airと比べて軽量な位置づけになっています。公式には1,000Whクラスで最小・最軽量級のひとつとも紹介されており、初めて非常用電源を導入する部署や、拠点ごとに複数台を配備したい場合の「1台目」として検討しやすいモデルだと考えられます。
4種類の充電方式がもたらす運用面での柔軟性
両モデルとも、通常のコンセントに加えて、ソーラーパネル、走行充電器(Alternator Charger)、シガーソケットといった複数の方法での充電に対応しているとされています。公式情報では、2000 Airはコンセント充電で最短2.3時間、走行充電器使用時で約4.4時間、1000 Airは走行充電器使用時で最短2.1時間での満充電が案内されています。停電が長引いた場合や、社用車を移動手段として使える場合など、状況に応じて充電手段を使い分けられる点は、法人での備えとしても心強い要素になりそうです。
導入前に確認しておきたい注意点
ここで紹介した数値はいずれも公式に案内されている情報ですが、実際の稼働時間や充電時間は、使用環境や接続する機器の状態によって変動する可能性があります。また前述の通り、自動切替機能はUPSの代替を意図したものではないため、サーバーなど瞬断が許されない設備がある場合は、別途専用の対策もあわせて検討することをおすすめします。導入にあたっては、自社の想定シーンに照らして必要な容量・出力をあらかじめ洗い出したうえで、最終的な仕様は公式サイトや販売店に確認しておくと安心です。
ここまで、企業の非常用電源選びで後悔しやすいポイントと、失敗しないために確認しておきたい5つの基準について整理してきました。BCP対策における電源選びは、容量や価格だけで決めてしまうと、いざという時に「思ったように使えなかった」という事態につながりかねません。容量と出力のバランス、自動切替機能とUPSの違い、バッテリー素材、そして日常的な扱いやすさまで、複数の視点から総合的に検討しておくことが、本当に頼れる非常用電源を選ぶための近道になると考えられます。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーとしての知見を生かし、法人のお客様の電源選びのご相談にも対応しています。非常用電源の導入や見直しをお考えの担当者の方は、ぜひ一度お気軽にお声がけください。
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