「非常用電源を導入したいのはやまやまだが、置く場所がない」。オフィスの防災担当者や小規模店舗のオーナーから、そうした声を聞くことは意外と少なくないようです。非常用電源というと大容量・大型のイメージが先に立ちやすく、専用の倉庫や広い書庫スペースを前提に検討が進みがちですが、実際には多くの中小企業やサテライトオフィス、テナント型の店舗が、そもそも大型機材を置くスペースを持っていません。結果として「置き場所が決まらないから導入を先送りにする」という状態のまま、防災投資そのものが止まってしまっているケースもあるようです。
この記事では、そうした省スペースという制約を抱える企業がBCP(事業継続計画)としての非常用電源をどう選んでいけばよいのかを、DJIが展開する小型高出力モデル「DJI Power 1000 Mini」を例に整理していきます。私たちボルトワークスは元自動車メーカーで培った知見を生かし、ポータブル電源専門店として法人のお客様の導入相談にも数多く携わっており、置き場所に悩む担当者の声も現場でよく耳にしてきました。

「置き場所がない」という理由で防災投資が止まっている企業は少なくない
倉庫や書庫を持たないオフィス・店舗ほど二の足を踏みやすい非常用電源
賃貸オフィスやテナント型の店舗では、そもそも防災備品専用のスペースを確保すること自体が難しい場合が多いようです。大容量の非常用電源は本体サイズも重量も大きくなりがちで、床置きスペースや動線への影響を考えると、導入したくても物理的に置けないという壁にぶつかる担当者は少なくないと考えられます。特にワンフロアの小規模オフィスや、什器で床面積の大半が埋まっている店舗では、この「置き場所問題」が防災投資の最初のハードルになりやすいようです。
「大容量=正義」という思い込みが導入のハードルを上げている面もある
非常用電源の情報を集めていると、容量(Wh)や出力(W)の大きさばかりが比較の軸になりがちで、「まずは大は小を兼ねる大容量モデルを」という発想に流れやすい面があります。しかし、企業のBCPで本当に必要なのは、停電時に自社の業務を止めないために必要な機器を動かせるだけの電力であり、必ずしも家庭用蓄電池のような超大容量モデルが唯一の正解とは限らないと考えられます。むしろ、置ける場所と持ち運びやすさを優先し、身の丈に合った容量から検討を始めるほうが、現実的な一歩になりやすい企業も多いはずです。
サテライトオフィスや小規模店舗ほど「1台目」の選び方が重要になる
本社のように専任の防災担当や広い保管スペースを持つ拠点であればまだしも、サテライトオフィスや数名規模の営業所、個人経営に近い店舗では、非常用電源を初めて導入する「1台目」の選び方がその後の防災体制を大きく左右します。最初に選んだ機種が大きすぎて置き場所に困った結果、結局使われないまま倉庫の奥にしまわれてしまうという事態は避けたいところです。省スペースで扱いやすいモデルから検討を始めることは、防災投資を長続きさせるうえでも理にかなっていると考えられます。
スペースの制約は防災投資を先送りする十分な理由にはならない
置き場所の制約は現実的な問題ではあるものの、それ自体が防災投資を先送りする決定的な理由になってしまうのは本末転倒だといえそうです。停電はオフィスの床面積の大きさを選んでは起こりません。むしろ、限られたスペースの中でどこまでの備えができるかを具体的に検討していくことが、担当者に求められている視点だと考えられます。
小型・高出力を両立するポータブル電源という選択肢
1kWhクラスを11.5kgに収めるという設計思想
DJIの「DJI Power 1000 Mini」は、公式情報によれば定格容量1,008Whとされ、1kWhクラスの中でもコンパクトな部類に位置づけられているモデルです。正味重量は約11.5kg、サイズは314×212×216mm(長さ×幅×高さ)とされており、一般的なオフィス什器の空きスペースや、什器の下・キャビネットの脇といった限られた空間にも収まりやすいサイズ感だといえそうです。持ち運びも一人で十分に行える重さの範囲に収まっていると考えられ、拠点間での融通や、保管場所の見直しにも柔軟に対応しやすい点は、省スペースを重視する企業にとって検討材料になりやすいポイントです。

リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)がもたらす安全性と長寿命
バッテリーには、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池が採用されているとされています。公式情報では、4,000回の充放電サイクルを経ても80%以上の容量を維持するとされており、長期間にわたって備蓄用途に使い続けることを前提にした設計だと考えられます。非常用電源は日常的に頻繁に使うものではないだけに、いざという時に劣化していて使えないという事態は避けたいところですが、サイクル寿命の長さはそうした不安を軽減する材料のひとつになりそうです。
定格800W・瞬間1000Wという「実用に足りる」出力ライン
出力については、公式情報でAC出力が連続800W、瞬間最大1000Wとされています。ノートパソコンやモニター、ルーターといったオフィスのIT機器を中心とした用途であれば、この出力帯でも十分にカバーできる場面は多いと考えられます。もちろん、業務用の大型空調機器や複数の重量負荷機器を同時に動かしたい拠点では、より大容量のモデルとの組み合わせを検討する必要はありますが、「まず最低限のIT環境と照明を止めない」という省スペース拠点の一次的なニーズには、無理のない出力ラインだといえそうです。

約58分でAC80%充電という復旧スピードの意味
公式サイトでは、AC電源からの充電で0%から80%まで約58分としています。停電が予告なく起きるものである以上、平常時にどれだけこまめに充電状態を保てるかが実際の備えの質を左右しますが、充電時間が短いモデルであれば、担当者が定期的な充電確認をする際の負担も軽くなりやすいと考えられます。また、停電から電力が復旧したあとに次の停電へ備えて素早く再充電できることも、拠点数が多く一人の担当者が複数拠点を見て回るような体制では、地味ながら重要な条件になりそうです。
ソーラー・走行充電・車載など複数の充電手段を備えていること
このモデルには400W級のMPPTソーラー充電機能や、車のシガーソケットからの充電に対応する機能も備わっているとされています。停電が長期化し商用電源からの充電が難しい状況でも、日中の太陽光や社用車を使って充電できる手段が複数あることは、拠点によって置かれている環境が異なる企業にとって選択肢の幅を広げる要素になると考えられます。
省スペース型電源を法人のBCPに組み込むための実務ポイント
どの部署・どの拠点の「最低限」を満たすかを先に決める
省スペース型の電源を導入する際は、まず「停電時に最低限、何を動かし続けたいのか」を部署・拠点ごとに具体的に洗い出しておくことが出発点になります。IT機器なのか、照明なのか、レジや通信端末なのか。動かしたい機器の種類と数がはっきりすれば、必要な出力や台数の見当がつけやすくなり、導入後に「思ったより足りなかった」という事態を避けやすくなると考えられます。
動作温度域と保管場所の確認は導入前の必須ステップ
公式情報では、充電・給電ともに動作温度は-10℃から45℃の範囲とされています。屋外倉庫や空調のない保管スペースに置く場合、季節によってはこの範囲を外れる可能性もゼロではないため、実際に保管する場所の温度環境を事前に確認しておくことが望ましいといえます。製品によって推奨環境は異なる場合があるため、詳細は購入前に販売店や公式情報で確認しておくと安心です。
複数台を分散配置するという発想
1台あたりが小型で扱いやすいからこそ検討しやすくなるのが、複数台を各部署やフロアに分散配置するという運用です。大容量モデル1台に依存する形だと、その1台の設置場所そのものが被災した場合に電源そのものを失ってしまうリスクがありますが、小型モデルを複数拠点・複数フロアに分けて配備しておけば、被害が及ぶ範囲を限定しやすくなると考えられます。省スペース型モデルは、この「分散」という防災の基本的な考え方とも相性がよいといえそうです。

消防法や管理規約の確認は最寄りの窓口に相談するのが安全
ポータブル電源の保管・使用については、建物の管理規約や消防法上の取り扱いが物件やテナントによって異なる場合があるとされています。特にオフィスビルやテナント型店舗では、バッテリー製品の保管に関する独自のルールが定められていることもあるため、導入前に管理会社や最寄りの消防署に確認しておくと、思わぬトラブルを避けやすくなります。
導入前の相談・現地調査から始めるという進め方
省スペースでの導入を検討する際は、机上の比較だけでなく、実際の設置候補場所のサイズや動線を踏まえた相談から始めることをおすすめします。拠点ごとに置けるスペースの形も広さも異なるため、一律の答えを当てはめるのではなく、現場の状況に合わせて機種や台数を調整していく進め方が、結果的に無理のない防災体制につながりやすいと考えられます。

ここまで、置き場所という制約を抱える企業が非常用電源をどう選んでいけばよいのかを、小型・高出力モデルという選択肢とあわせて整理してきました。非常用電源の導入は、大容量モデルを前提に考えると足踏みしてしまいがちですが、まずは置けるサイズから一歩を踏み出すという発想に切り替えることで、防災投資が現実的に前へ進みやすくなると考えられます。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーとしての知見を生かし、法人のお客様の省スペース電源導入に関するご相談にも対応しています。置き場所に悩んで防災投資を先送りにしている担当者の方は、ぜひ一度お気軽にお声がけください。
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