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【過去動画の振り返り】避難所へ片手で運べる電源とは何か、5kg級の動画に学ぶ備え方

元動画:【避難用】たった5kgで片手で持ち出せるポータブル電源 容量560Whでスマホ約47回を技術者が解説(https://www.youtube.com/watch?v=zgb1VAd67ps)

本記事は、2021年4月に公開された動画を、現在の視点で振り返る回です。動画の概要欄にも「2021年4月時点の情報」と書かれているとおり、紹介された製品の価格や仕様は当時のものです。ここでは古い価格やセールの話には触れず、動画が投げかけていた「避難のときに持ち出す電源は、何を基準に選ぶのか」という問いだけを取り出して、法人のBCPに置き換えて考えてみます。

2021年の動画が出した「避難用の電源」という物差し

動画の話者は、ポータブル電源にはそれぞれ適した用途があると前置きしたうえで、視聴者から多く寄せられた質問に答える形で「避難用」に絞って製品を紹介していました。選ばれたのは、容量が約560Whで重さ約5キログラムというiCOXのポータブル電源です。ここでは製品の優劣ではなく、動画がどういう順序で考えを組み立てていたかをたどります。

避難の流れをシミュレーションしてから、製品を選んでいる

動画の特徴は、スペック表から入らず、避難の場面を先に想像してから電源を選んでいる点です。話者は、せっかく買った電源が避難のときに持ち出せなければ意味がない、という趣旨で、首相官邸のホームページにある非常持ち出しバッグの内容例を画面に映していました。飲料水や食品、貴重品、救急用品、ヘルメット、携帯ラジオ、衣類や洗面用具など、準備すべきものは二十項目を超えるとされています。荷物がただでさえ増えていく中で、電源は「あれば安心だが、重ければ置いていかれるもの」になりかねない、という指摘です。

避難所までの距離から「持てる重さ」を逆算する

次に動画は、国土交通省のホームページを根拠として、避難所までの平均的な移動距離を示していました。映像内の表記では、車で避難する人が約2.4キロメートル、徒歩で避難する人が約438メートルです。数百メートルとはいえ、非常用バッグを背負った状態で、さらに電源を片手で提げて歩くことになります。ここから話者は、避難用の電源は容量の大きさよりも、運びやすさを先に確かめるべきだと整理していました。数字の出典は動画内の表示によるもので、現在の数値は公式の最新資料でご確認ください。

同じ容量帯より約1キログラム軽い、という説明

動画では、同じくらいの容量の従来型は6キログラム前後だったのに対し、紹介機は5キログラムで、1キログラムほど軽いと説明されています。軽さの理由として話者が挙げたのは、電池に三元系と呼ばれる種類を使っている点でした。持ち手が本体と一体になった丸みのある形で、握りやすく耐久性も高そうだ、という見立ても語られています。電池の種類によって重さや寿命、安全面の特性は異なるため、軽さだけで判断せず、製品ごとの安全仕様や保管条件の説明も併せて確認するのが現実的です。

容量の見積もりは、避難生活の長さと使う機器から組み立てる

動画の中盤は、避難先で何日、何を動かすのかを計算する部分です。ここは当時の製品に限らず、いまの法人備蓄にもそのまま使える考え方でした。

阪神・淡路大震災の約10日間を基準にした

話者は、阪神・淡路大震災では避難生活が約10日間続いたとされることから、最低でも10日間の電力を確保したいと述べていました。10日という数字は動画での紹介であり、災害の種類や地域によって実際の期間は大きく変わります。ただ、見積もりの基準日数を先に決める、という手順そのものは大切です。日数が決まれば、必要な容量は逆算できるからです。

スマホ約47回という、数え方のわかりやすさ

動画では、容量をスマートフォンの充電回数に置き換えていました。映像内の表示では、約47回の充電が可能とされています。4人家族が1日1回ずつ充電しても、約10日間は足りる計算だと話者は説明していました。そのほか、ノートパソコンなら約8回、車載用の冷蔵庫なら約11時間動かせるという目安も示されています。回数や時間は、機器の機種や使い方、気温などで変わる目安です。法人であれば、従業員数と充電したい端末の台数から同じ計算ができます。専門用語の容量値より、現場で使う機器に置き換えた数字のほうが、稟議や社内説明で伝わりやすいことを、この部分は教えてくれます。

定格500ワットのAC出力と、使わない端子の割り切り

AC出力は定格500ワットで、簡単なDIYで使うサンダーやドリルのような工具も動かせる、と動画は紹介していました。一方で、話者が実際に1週間使って気になった点として、USB-Cの給電ポートが無いことも率直に語られています。ただし、避難での利用を主題にするなら、USB-Cを使う場面は少なく、大きな影響はないだろうという判断でした。万能な機能を求めるのではなく、使う場面から要らないものを割り切る考え方で、これもBCPの備蓄選びに通じます。

見つけやすさと運用、そして製品の現況まで備えに含める

避難用の電源について、動画がもう一つ重視していたのが目立ちやすさです。性能表には載らない項目ですが、実際の災害時にはかなり効いてくる可能性があります。

黒い電源は、停電した部屋では探しにくい

話者は、近年のポータブル電源は黒系で目立ちにくいものが増えていると指摘しています。停電して部屋が暗くなると、色の暗い電源は見つけにくくなります。紹介機は黄色のデザインで、停電時も一目で見つけられる、というのが動画の主張でした。本体にライトも付いているため、持ち出したあとは明かりとしても使えるとされています。色や見つけやすさは好みの問題にも見えますが、夜間の停電や、混乱した状況で従業員が電源を探す場面を考えると、置き場所の目印と合わせて検討する価値があります。

置き場所と持ち出し担当者を決めておく

動画は個人の避難を想定していましたが、法人でも考え方は同じです。従業員が帰宅困難になる場合や、事業所から指定の避難場所へ移る場合には、人数分の荷物に加えて電源も運ぶことになります。

電源が軽くても、誰が、どの順番で、どこから持ち出すのかが決まっていなければ、当日は動けません。筆者の整理としては、①保管場所の表示、②持ち出す担当者と代理、③非常持ち出しバッグとの置き場所の関係、の三つを事前に決めておくことが、電源そのものの性能と同じくらい大切だと考えます。事業所なら、避難経路の近くに置く、棚の高さを揃える、といった運用が考えられますが、建物の条件や消防の指導によって適切な形は異なります。具体的な保管方法は、最寄りの消防署や施設管理者にご確認ください。

充電の手段を複数持っておく

災害時の電源は、使った分を戻せて初めて繰り返し頼れます。事業所では、停電時にコンセントが使えないことを前提に、充電の手段を平時から一つ余分に持っておくと安心です。

電源本体の軽さと並んで、見落とされやすいのが「空になったあとの手当て」です。

動画では、充電時間の目安も映像内で示されていました。家庭用コンセントで約6.5時間、車の走行充電で約12時間、100ワットのソーラーパネルで約8時間です。電源は空のままでは使えません。停電が長引く場合に、コンセント以外でどう充電するかを考えておく必要があります。サイクル数についても、従来型は500回ほどなのに対し、紹介機は800回とされていました。これも当時の動画内の説明で、実際の寿命は使い方や保管状況によって変わります。

公式の情報で現況を確認できなかった

本記事の執筆にあたり、紹介されたiCOXのポータブル電源について、現在の販売状況や仕様を公式の情報で裏づけようとしましたが、確認できる情報は見つかりませんでした。そのため、現在も販売されているのか、後継機があるのか、動画のスペックがそのまま当てはまるのかは、取り扱い状況は未確認です。本記事は、この製品を勧めるものではなく、動画で語られた「避難用の電源の選び方」を振り返るものです。製品を検討する際は、必ずメーカーや販売元の最新の公式情報をご確認ください。

まとめ:容量の前に、持ち出せるか、見つけられるかを問う

動画の結論は、避難用の電源として軽さと握りやすさ、容量の十分さ、見つけやすさを兼ねた製品を紹介する、というものでした。5年以上たった今の目で見ても、残る本質は二つです。一つは、避難の場面を先に想像してから必要な重さと容量を逆算すること。もう一つは、性能表に出ない「見つけやすさ」や「誰が持ち出すか」といった運用面を備えの一部に含めることです。数字を比べるだけでは見えにくい論点ですが、BCPの備蓄を見直すときには、一度立ち止まって確かめてみる価値があるはずです。

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