Blog

ブログ

【過去動画の振り返り】非常用電源の容量は、AC変換のロスとDC出力で考える

元動画:【容量UP】お手持ちのポータブル電源の容量を伸ばす方法を技術者が解説します。Elechive,Jackery,EfdeltaでもOK 。(https://www.youtube.com/watch?v=VW4KmGiaw_k)

本記事は、2021年5月に公開された過去の動画を振り返る回です。動画は、自動車メーカー勤務の投稿者が、充電できない環境でもポータブル電源を長く使うための方法を解説する内容でした。ここで言う「容量を伸ばす」とは、バッテリーを増設して容量そのものを増やすことではありません。表示されている容量を、ムダなく使い切るための工夫の話です。動画の中心にあったのは、電気を交流(AC)に変えるときに生じる変換のロスと、変換を挟まないDC出力の使い方でした。事務所や店舗の停電対策(BCP=事業継続計画)の目線で読み替えると、「増設を検討する前に、今ある電源の容量を目減りさせていないか」を考える材料になると考えられます。公開から数年が経っており、動画に出てくる機種は当時のものです。そのため特定の機種をおすすめすることはせず、機種が変わっても通用する考え方を中心に整理します。数値や仕様は変わっている可能性がありますので、導入にあたってはメーカーや販売店の最新の情報をご確認ください。

表示されている容量は、そのまま使い切れる数字ではない

動画の前半は、容量の基本を確かめる構成でした。ここは、停電対策の担当者が見積書や仕様書を読むときにも役に立つ部分です。

容量(Wh)と出力(W)から、使える時間を割り出す

動画では、ワット(W)は家電を動かす「力」、ワットアワー(Wh)は電気をためておける「量」と説明されていました。ポータブル電源では、容量をWhで表すのが一般的だそうです。そして、使える時間は、容量(Wh)を使う機器の出力(W)で割ると求められる、という説明でした。動画の例では、100Whの電源で100Wの機器を使うと、計算上は1時間になります。BCPの備えで言えば、停電中に動かしたい機器の消費電力を合計して、必要な時間をかけ合わせれば、必要な容量の目安が出せることになります。

カタログがmAh表記のときは、Whに直して比べる

動画では、通販サイトなどでmAh(ミリアンペアアワー)表記の電源が売られていることにも触れ、Wh表記にしないのは容量を多く見せている可能性があるので、購入前にWhに換算したほうがよい、と話されていました。一般に、WhはmAhに電圧を掛けて1,000で割ると求められるとされています。たとえば、20,000mAhで電池の電圧が3.7Vなら、およそ74Whです。電圧は製品によって異なりますので、これはあくまで計算の例です。稟議書や見積書で複数の製品を比べるときには、容量の単位をWhにそろえておくと、比較の土台がそろいます。

なぜインバーターを通すと、取り出せる量が減るのか

動画では、まず電気の仕組みが説明されていました。家庭のコンセントから出る交流は、電気をためておくことができません。そのため、ポータブル電源の内部では、直流(DC)に変えてバッテリーにためています。そして、ACコンセントから機器を使うときは、内蔵のインバーターという部品で、直流を交流に戻しています。動画では、電源の主な部品として、インバーター、バッテリーマネジメントシステム、バッテリーが紹介されていました。この「直流から交流への変換」の過程でロスが出るため、ためた電気を100%は取り出せない、というのが動画の指摘です。

変換効率は80〜90%、使える時間は8〜9割になる

動画では、インバーターの変換効率は一般に80〜90%とされ、搭載されている部品の性能によって変わると紹介されていました。先ほどの例で言えば、100Whの電源で100Wの機器を動かしても、1時間ではなく約0.8時間になる計算です。この数値は話者の目安で、機種や使い方によって変わります。ただ、カタログの容量がそのまま使える時間にはならない、という点は覚えておく価値があります。

実効容量の見積もり式を、社内の標準にしておく

ここまでの話をまとめると、ACで使うときの時間の目安は、表示容量に変換効率をかけて、機器の出力で割る形になります。たとえば1,000Whの電源に100Wの機器をつなぐ場合、効率が80%なら約8時間、90%なら約9時間という計算です。これは筆者の単純な計算例であり、実際には気温や電池の状態でも変わります。それでも、「AC経由は表示容量の8割で見積もる」という社内の約束をひとつ決めておくだけで、備えの見積もりが楽観的になりすぎるのを防ぎやすくなります。逆にDCで直接つなぐ場合は、動画の説明では変換のロスがほぼ生じないため、同じ条件で10時間に近づく可能性があります。差は1〜2時間ですが、停電が長引くほど、この差は積み上がります。

変換のロスを避けるDC出力を、停電時の運用にどう組み込むか

動画が紹介していた「容量を伸ばす」方法のひとつが、DC出力を使うことでした。便利な反面、法人で使うには確認しておきたい点があります。

DCポートからなら、インバーターを経由しない

動画では、ほとんどのポータブル電源にDC出力の端子が付いていて、ここから電気を取り出せばインバーターを通らないため、ほぼ100%に近い効率で使えると説明していました。使い方は、ケーブルと変換アダプターで機器につなぐ形です。例として、充電式の扇風機が挙げられていました。バッテリーが切れたときに付属のACアダプターで動かす場合は、アダプターでも変換のロスが出ます。そこで、DCケーブルで電源のDCポートから直接つなぐほうが効率が良い、という話でした。動画の投稿者は、自分のキャンピングカーでも、天井のライト、換気扇、ウォーターポンプなどをDC出力から動かしていると話していました。

停電時にDCで動かせる機器を、先に洗い出しておく

動画では、DC出力はLEDライトや小型の冷蔵庫などにも使える、と紹介されていました。BCPの備えとして考えるなら、まず事務所や店舗にある機器のうち、DCで動かせるものを洗い出す作業が出発点になります。たとえば、停電時の照明に使う小型のLEDライト、換気や暑さ対策のための扇風機、飲料や薬品を冷やす小型の冷蔵庫などが候補になりそうです。機器ごとに、定格の電圧と消費電力、現在のつなぎ方(ACアダプターか、シガーソケットか、バッテリーか)を一覧に書き出します。その中から、ACアダプターを使っている機器で、DC対応の可能性があるものに印をつけておくと、確認すべき対象が絞れます。

12〜24V対応の表記を確かめ、試す際は自己責任という注意書き

動画では、この方法を使う前に、機器の端子に「DC 12〜24V」などの表記があるかを確認するよう強く呼びかけていました。表記がない機器をつなぐと、壊れるおそれがあるという注意です。また、試す場合は自己責任でお願いします、という但し書きも添えられていました。これは個人の趣味の車内改造としては通用する説明ですが、法人の備えにそのまま持ち込むのは避けたほうがよいと考えられます。電圧や極性、プラグの形状が合わない接続は、機器や電源の故障、場合によっては事故につながる可能性もあります。確認の際は、機器の端子付近やACアダプターの銘板、取扱説明書に書かれた入力電圧の範囲を見て、電源側のDC出力の電圧と合っているかを照らし合わせるのが基本になります。

ケーブルとアダプターは、組み合わせごとに確認済みリストへ

動画では、DCケーブルと、先端の形が異なる変換アダプターのセットが紹介されていました。プラグの形が合っても、電圧や電流の容量が合わないことは起こりえますので、組み合わせの数が増えるほど、担当者の知識に頼る部分も増えます。法人で取り入れるなら、機器ごとに、定格の電圧、プラグの形状、電源側の端子の種類と出力の上限、メーカーへの確認の有無を記録した確認済みリストを作ります。そのうえで、確認がとれた機器とケーブルの組み合わせだけを、停電時の標準とします。自作の配線は行わず、メーカーの取扱説明書に沿った接続にとどめるのが無難です。迷うときは、購入先やメーカーの窓口に相談したうえで判断してください。

AC側の使い方と、古い動画を今読むときの注意点

DCにつなげない機器は、ACで使うことになります。ここでは、動画が触れていたAC側の注意点と、古い動画を読むときの確認点を整理します。

ACは必要な機器だけに使い、使うときだけオンにする

動画では、多くの電源にDCスイッチとACスイッチが別々にあり、ACスイッチをオンにしただけで、何もつないでいなくても約10W程度が使われ続けると説明されていました。これは動画の話者が示した目安であり、機種によって異なると考えられます。結論としては、ACスイッチは使うときだけオンにするのが基本、という一言に尽きます。DCやUSBで済む機器はそちらにまわし、ACは必要な機器に限る、という使い分けが、容量を長持ちさせる考え方につながります。

動画の機種と、いまの機種のスペックは分けて読む

動画の概要欄には、当時の機種としてEFDELTAやJackeryなどが挙がっていました。EcoFlowの公式サイトにあるDELTA 2のページを見ると、比較表には初代のEFDELTAが容量1,260Whと載っており、DELTA 2は容量1,024Whと記載されています。出力端子の項目には、DELTA 2について、シガーソケット1口とDC5521が2口、USB-Aが4口、USB-C(100W)が2口と記載がありました。このように、同じブランドでも世代が変わると容量や端子の構成が変わります。DC出力の電圧や使える電流、ACを使っていないときの挙動も、機種によって異なる可能性がありますので、取扱説明書でご確認ください。古い動画を参考にするときは、考え方は活かしつつ、数値や端子の構成は最新の公式情報で読み替える姿勢が大切です。

まとめ:増設の前に、AC変換のロスとDC出力の使い分けを見直す

動画を振り返ると、容量を「伸ばす」ための近道は、バッテリーを増やすことよりも、すでにある容量の変換ロスを減らすことだと感じます。ACで使うときの見積もりは表示容量の8割ほどで立てること、停電時にDCで動かせる機器を洗い出して確認済みリストにすること、12〜24Vの表記を必ず確かめること。この3点は、費用をかけずに始められます。BCPの備えとしては、停電時に動かしたい機器の一覧に、消費電力と接続方法(ACかDCか)を書き添えるところから始めてみてはいかがでしょうか。数値や仕様は更新されている可能性がありますので、最終的にはメーカーや販売店の最新の情報をもとに判断してください。

▶【YouTubeで動画を見る】https://www.youtube.com/watch?v=VW4KmGiaw_k

▶【ボルトワークス公式ショップ】https://voltworks.official.ec/

▶【公式LINEで相談する】https://lin.ee/Cd11jZO

▶【お電話でのお問い合わせ】050-1809-3937